ぬるみんでいる。

家も好きだけど館が好き。

「スローなブギにしてくれ」のわたし。

7月にリリースされる松本隆さんトリビュートアルバムの「楽曲」の思い出を置く場所その3。

「強いジンのせい」にして。でもラストは「理由なんかないさ」なんて歌われたら、もう!「おまえが欲しい」は超ずるい。

 

 

オリジナル南佳孝さん。1981年1月21日リリース。

強烈に恋歌。「スローなブギにしてくれ」

松本隆トリビュートアルバムではGRIM SPANKYがカバーする。

2021年、女性のwant you 人生のゲームまだまだたのしみは続く。

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映画公開は1981年3月。

自分の記憶で不確かなことがある。片岡義男小説が映画になる、主題歌は南佳孝。じゃあ南佳孝を聞こう、となったのか。主題歌が南佳孝、じゃあ片岡義男の小説を読もう、となったのか。どちらかわからないくらいぴったりとくっついた2つの文化。どっぷりと自分の書棚は赤い背表紙が並び、映画を見る前にはかなりの作品を読んでいた。そこは確か。

どちらが先だったのか。

兄は藤田敏八監督作品が大好きだったので、CMで映画の宣伝が流れると言葉にはしないがお互い「見に行くよね」という「おう」の無言のなにかが通じてた。でも一緒には行かなかったし、見てから感想も交わさない。わたしには難しい映画だった。

 

角川映画の中、テレビカメラマン役で林美雄さんがでているというのはのちのち知ったこと。林さんのラジオ番組の影響は大きい。田舎でアンテナを東京の方角に向ける。ちかくのほかのだれも聞かない音楽があったのだ。それが知りたかった。他国の滑舌のよい声に紛れながらわたしは夜中の東京に想いを馳せる。真夜中の文化放送をキャッチできればそれで幸せだった。かわいいな自分。林さんの番組で大貫妙子南佳孝佐野元春を知る。ユア・ヒットしないパレード。

 

時系列を考えると、南佳孝が主題歌を担当する映画「スローなブギにしてくれ」の原作が気になり片岡義男を読むようになったのが正解か。映画は1981年3月7日公開。ロンバケ直前だったの。それぞれそしてほかの作品に関しても作詞松本さんのクオリティは上級のままだ。ひとりのひとが。

 

映画のCMは爽やかだった。片岡文庫本の表紙のような爽やかさ。のちに助監督が撮ったらしいと聴いたような気もするがソースなし。本編とはまったく別モノ。スクリーンでみる本編はおとなのおとなにおとなだからわかるだろう苦いものだった。浅野温子の睫毛ときつい目が鮮烈だった。当時は山崎努原田芳雄もその魅力がわからなかった。ほんとにわからなかった。

 

たぶんそれは、映画に行く前に南佳孝「スローなブギにしてくれ」を聞きまくっていたからかもしれない。「誰も自分を愛しているだけの」もうこの男像がダントツにかっこいいのだ。松本作品でたぶん1番かっこいい。愛してる。短い歌詞の中、そのまま受け取ればきもちいいし、深読みして背景を設定してもいい。「自分を愛しているだけの」正直さ。「弱いところ」を自覚する男ももうダメなんです(褒めのダメ)「理由なんかないさ」の潔さ。「ジンのせい」にして。でもラストは「理由なんかないさ」もう両手を広げるしかないじゃないの。「おまえが欲しい」は超ずるい。

 

 いま「答えはいらない」って聞くとああこれでいいんだなと想う。「答えはいらない」って凄くない?そして泣く。ある日ひどく落ち込んでいるときにイヤホンからの佳孝さんの「人生はゲーム」の歌声で通電した。「あっ!」生身で受けられない弾もある。そのときはこれを口ずさむ。救われたことがある。

 

「ずるい」は最大級の褒めです。

 

2021年、女性のwant you 人生のゲームまだまだたのしみは続く。

GLIM SPANKY「スローなブギにしてくれ(I want you)」コメント動画 - YouTube

 

ことばひとつひとつに魂が宿る。と今回カバーする松尾レミさん。全フレーズすべてかっこいい。